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ゲーム寄りのよろず二次創作ブログ
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 某イラストSNSで素敵な春閣下(白)inグレースメリアな絵を拝見してムクムク書きたくなってやった、反省はしていない。
 ACE6×THE IDOLM@STER、だけど別に痛戦闘機ネタとかじゃない。戦後、グレースメリア復興記念式典みたいのに友好国から歌姫なアイマスアイドルが来てるって前提の小ネタ。ご時世とか時間軸とか世界観とか建物の位置関係とかその辺は全力で無視&スルー。マジで勢いで書いた。閣下やアイドル達は遠目で出てるだけ、しゃべってんのはタリズマンとシャムロックで、8割ほのぼの2割シリアス。



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「リハーサルで結構しゃべったんだけど、みんな良い子で可愛いんだよ。顔とかちっちゃくて人形みたいに細くて華奢なのに、タフに踊って歌うしプロ意識もすごい。ああいう子たちも世の中にいるんだなぁ」
 シャムロックが静養している一室、低めに作られたその窓辺から式典用の舞台を見下ろし、エメリア空軍制式礼服を着慣れない風に身につけたタリズマンは楽しそうに言う。その隣では車椅子に載った、こちらも軍服のシャムロックが同じ場所を見ていた。
 堅苦しいお偉方の挨拶もようやく終わり、他国から招かれた様々な人々がそれぞれの形でグレースメリアの復興を祝っている。今はちょうど、とある友好国から招かれた若き歌姫たちの演目中で、うちの二人の美しいハーモニーが開けはなった窓から響いてきていた。
「ちなみに、髪が短い子がマコトで長い子がチハヤ。チハヤは特に意識が高くって……あ、もう終わりか」
 二人の歌はこれで終わりらしい。湧く大きな拍手に輝く笑顔で応えながら袖に向かうのと入れ代わりに出てきた白一色の帽子と衣装に身を包んだ少女に、お、次はハルカちゃんだったな、とタリズマンがますます嬉しそうな顔になる。
「彼女は?」
「ハルカ・アマミ。あの子たちの国では一番人気があるんだって。でもそれも納得、性格よし器量よし歌も上手とか、天は二物を与えないけど三物とか四物とかは与えるんだもんな」
 ベタ褒めに近いその評価からして、どうやら歌姫達の中で特に気が合った子らしい。がんばれ~、と見守るタリズマンの視線の先、ハルカは緊張しているのが遠目でも分かる様子で舞台の中央に立った。そして、穏やかな調子の伴奏が始まり、それに、残る幼さがよいアクセントになった、たおやかな歌声が絡んでいく。
 先ほどの二人のものとは異なり、共通語ではなく異国の言葉で綴られた歌詞の意味は、恐らくこの会場にいるほとんどの人間にはわからないはずだ。しかし、その旋律は、彼女の歌声は、その一人であるシャムロックの心にもなにか訴えかけてくるものがあった。
「良い曲だな」
 ぽつりと漏らした簡潔な感想にタリズマンも頷いて、
「これ、この式典用に作った新曲なんだって。ハルカちゃんの国の言葉で、家族や絆について歌ってる」
 曲は次第に盛り上がり、まさにサビに入ったらしい。すっかり歌と己に入り込み大舞台であることすら糧にして両手を広げて歌うハルカに向かい、演出なのだろうか、正面から風が吹き抜けた。彼女の頭から帽子をさらい衣装をたなびかせ、その背に飾られてたリボンが大きく膨らんで流れていく。それはまるで羽根のようで……。
「天使みたいだ」
 まったく同じことを思っていたシャムロックは、横から聞こえてきた呟きに微笑む。
「なにを言うんだ、君も『解放の天使』だろう?」
「……それで呼ぶのだけはホントやめて御願いだから」
 ただでさえ恥ずかしすぎるのにハルカちゃんと比べられるとか、とげっそりした顔になったタリズマンにシャムロックがくつくつと笑う。まあ、戦争を終結に導いた英雄として、勝手にいくつもの渾名を与えられてしまったのはお互い様なのだが。
 やがてハルカの歌が終わりへと差し掛かると同時に、ガタンと病室のドアが鳴った。
「失礼しますランパート中尉、ってアッシュ中尉!! やっぱり式典抜けてらっしゃったんですね!? 展示飛行の準備を、本当に! お願いしますから!」
 泣き出しそうな広報官の言葉に、おおっとしまった時間忘れてたぁ、とわざとらしく言いながらタリズマンがシャムロックに向かい片手を差し出す。
「じゃ、行ってくるぜ、相棒」
「頼んだよ、相棒」
 パンと軽く手を打ち合わせてから、タリズマンは歩き出す。未だ傷の癒えない僚機を欠き『ガルーダ』として飛ぶことは彼女の本意ではないのだが、やはり英雄の翼もこの式を飾るべきと国家首脳部も軍部も、国民も望んでいる。それもまた本意とはほど遠い……英雄とされることも望まれることも、だ。
 申し訳なさそうに頭を下げてから、広報官がタリズマンが出て行ったドアを閉めた。それを見届け、シャムロックは窓の外へとまた視線をやる。アンコールを求める盛大な歓声に、一度は袖に引いたハルカが大いに照れながら再び舞台に立っていた。
 奏でる天使と舞い飛ぶ天使に祝福され、グレースメリアは今日も平和を謳歌する。


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