忍者ブログ
ゲーム寄りのよろず二次創作ブログ
18
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 二次創作ではなく、オリジナル創作。
 「おっさん×ようじょったー」(http://bit.ly/dTzPOg)にて出てきた『古物商な中年×獣人(兎)な6~9歳、主従』に従った萌えの迸り。骨董品屋を営んでいる温厚な中年男と、そこに「目利きする代わりに住まわせろ」と居座っているロリババアなウサ耳少女の短いお話。ロリババアだけど根っこは子どもで、初めて見るキラキラな少女アニメとかにうっかりやられてるといいよね! みたいな妄想です。本当に勢いで書いてるので細かい部分はご容赦。



「ふむ」
 ふりふりと、頭からにょっきり生えた長い耳を左右に揺らす様はとても愛くるしく、少しばかり体躯に合わない巫女装束に似た緋袴と白衣の衣装も少女の幼い姿を際だたせる。その掌には、古めかしい小道具に囲まれたこの部屋の中でも、ひときわの年月を刻んできたのであろうくすんだ金の鈴。それを転がしながら少女は傍らの和装の男を振り仰いで、その姿には相応しいが年齢には合わないやや時代がかった口調で言う。
「こやつ、孕んでおるわ」
「おや、それは困りました」
 口ではそう言いつつも、男はむしろ嬉しそうだ。それは男の古物を愛するその性に加え、世間の常識に照らし合わせた場合は『奇怪な』という形容詞がつくであろう少女を当然のように受け入れる酔狂な趣味を加味すればおかしな反応ではない。
「聞こえるのですね?」
「うむ、よい声をしておるの。羽化すれば、『せいれえん』もかくやと歌うに違いなかろうよ」
 ころりこおろり、鈴が深みのある音を奏でるのを特異な耳で捉え、少女は目を細める。この形のままでもこれだけの声を上げるのだ、付喪神としての姿を持てばあらゆる人の子らを魅了する歌を紡ぐに違いあるまい。そう思う少女に対して男は不思議そうな表情になり、
「『せいれえん』……セイレーンですよね? 貴女は西洋の怪異にも詳しくいらっしゃるのですか」
 む、と男の指摘に少女は眉根を寄せる。それは不快になったと言うよりも、痛いところを突かれたという雰囲気だ。
「外つ国のことはよく分からぬ。あの『てれび』というものから得た知識じゃ。……『ぷりきゅあ』たちの仇にそのような名の歌姫がおって、そ、それでな、少々調べたのじゃ」
 ぶつぶつと言いながら、決まり悪そうに少女が視線をそらすのに男は思わず噴きだしてしまった。少女がこの頃、朝に放映されているテレビ番組にいたくご執心なのは知っていたが、どうやらそれは女児向けのアニメだったらしい。まあ、その容姿からすればそれほどおかしな話ではないが、本人曰く『人に化けるだけの歳月』を生きてきたはずなのに。それとも、人に化けられるようになってからの年月が反映されているのだろうか。
「なるほど、なるほど。貴女は勉強熱心でらっしゃる」
「そのような言い様は余計じゃ」
 馬鹿にされたと思ったのか、少女がじろっと男をねめつける。ちっとも迫力などないそれに、怒るのなら言わなければいいのにとも男は思うが、この小さな獣人、あるいは神に類するものなのかもしれない存在にとって嘘は御法度らしい。ああ、となればやはり神とは違うのかもしれない。神なんて、欺くことで世の平穏を為すのだから。
「ええ、お好きに。貴女が楽しいと思うことを、存分に」
「夜更けまで起きておるお主と違い、わしは日の光に従っているだけじゃ。『てれび』を見ているのはついでなのじゃ!」
 ふん、と頬をふくらませてそっぽを向いた獣の少女に、男の笑みはますます深くなるのだった。

PR
お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Copyright c イ ク ヨ ギ All Rights Reserved
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ[PR]