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ゲーム寄りのよろず二次創作ブログ
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 うっかり書きたくなってしまった、【ハートキャッチプリキュア!】の創作文。
 最終回後、とある日の学校で、お昼休みの会話。登場はつぼみとえりかと番くん。番くんとつぼみがほんのり良い雰囲気になりそうな感じというかなんというか。勢いで書いてるので細かいところはご容赦。

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 世界に平和が訪れました。
 なんて言っても、大抵の物語じゃ、それを誰が産み出したのかなんて普通の人間は知らない。でも、この世界では違ってる。世界を平和にしてくれたのは、すべてを愛し緑を取り戻したのは、『プリキュア』っていうすごく可愛らしくてとっても強い、ただの女の子たちなんだって皆が知ってる。

「宇宙飛行士?」
「はい! わたし、自分のチカラで宇宙に行きたいんですっ!」
 昼食の喧噪に包まれた教室の中、ぐっとこぶしを、ついでにお箸も握りしめて花咲つぼみが力いっぱい言うのを、番ケンジは驚いた顔で見つめる。その間に収まった来海えりかは、意を得た顔でつぼみの手をツンツンと差した。
「つぼみ~、お箸折れるよ」
 はうっ、と慌てて開かれるつぼみの手は、ケンジからすればとても小さい。幼稚園児と混じっても違和感がないなんて言われてしまう―もちろん本人は憤慨している―えりかはともかく、つぼみは年相応の体格だ。が、ケンジがこの歳としては別格に体格が良いため―そのせいで番長なんて言われてしまうのだが―彼女もずいぶんと華奢に見えてしまうのだ。
「意外だな、花咲の夢が宇宙飛行士って」
 もちろんそれだけが理由ではないのだが、強靱な肉体であるほうが向いているに違いないとケンジがイメージする職業を夢に上げたつぼみに対し、彼は驚きを隠せない。てっきり花屋を継ぐとか、おばあ様が管理されている植物園を継ぐとか、そんなことを言い出すだろうと思っていたから。
「で、ですよね。……でも本気なんです!」
 恥ずかしげに目を伏せてお弁当の卵焼きをつついたつぼみだったが、次の瞬間には、がばっとばかりに顔をあげてケンジを見て、
「番くん、宇宙から地球を……じゃなく! 宇宙から見た地球の写真とか、見たことありますか?」
「ああ、一応」
「わたしもあるんですけど、とても壮大で綺麗ですよね。地球のなかに宇宙があるみたいに!」
「んん~? なにそれ? つぼみ、逆だよ。宇宙のなかに地球があるんじゃん」
「あ、もちろんそうですけど……」
 撮影のために早起きしたももかと一緒に作ったというサンドイッチをパクつきながらのえりかのツッコミに、あごに指を当てて考えながらつぼみは続ける。
「わたし、難しいことはまだよくわかりませんけど……この宇宙には、地球ほど花や緑に溢れているわけじゃないんですよね? だから、地球からお花や草や木を宇宙へ届けに行けたらなって思うんです」
「ああ、それで……地球から始まるから、宇宙が地球のなかにあるわけか」
「はいっ! わたしにそれができたらって思って、だから宇宙飛行士になりたいって」
 分かってもらえたのがよほど嬉しかったのか、ニコニコと笑いながら何度も頷くつぼみにつられたように微笑み、そして、ふと思いついたことをケンジは口に上らせる。
「なんだか花咲、プリキュアみたいだな」
「……え、えええええええええっ!?」
「な、なに言ってるの番く~ん! あたしらがプリキュアとかさー、冗談キツいよ!」
「ん? 俺は花咲のことを言ったんであって来海のことは……」
「あうっ! あ、ああ、そうだよね~、いやーちょっと聞き間違えちゃった! で、でもさ、なんでつぼみがプリキュアなの?」
 明らかに引きつった笑いを顔に貼り付けたえりかと、なにをそんなに驚くことがあるのか、ふたつに結んだ髪を逆立てんばかりにして固まっているつぼみ。ケンジはそんな二人を不思議そうに交互に見つめてから、
「まあ、花咲は、キュアブロッサムに雰囲気が似ているとは思う」
「そ、そう、ですか? そんなことは……ないと思うんですけど……」
「けど、俺が言いたいのはそういうことじゃない。花咲の、その夢がプリキュアのようだって感じる」
「え? なにそれ?」
「花や緑はたくさんの愛情を込めて育てるものだって、前に花咲、言ってたよな?」
「は、はい」
「そういう、愛情をたくさん込めた、花咲の愛そのものを宇宙に配って歩きたいんだろう? それは、愛で宇宙を救ったプリキュアと同じだ」
「あ……!」
「おおおお! なるほど! 番くんってばさっすが、ロマンチック~!」
「そ、そうか?」
 えりかにキラキラとした純粋な尊敬を込めた瞳を向けられてケンジは照れたように頭をかいた。それから、どこか呆然と頬を赤らめて自分を見つめるつぼみに向かい、
「なら、花咲。今度、一緒に展示会に行かないか?」
「……展示会って、もしかして今度始まる宇宙展ですか!?」
「ああ、知ってたか」
「はい! 行きます! 是非とも、ご一緒させてくださいっ!」
 がたっと椅子をならして身を乗り出したつぼみに、ケンジが、こっちこそよろしく、と頷いた。その横顔に、普段はあまり表情を現さない彼にしてはめずらしいほどの微笑みを見て取り、えりかはさっそくニヤニヤとした表情になる。
「へー、番くんも宇宙とか好きなんだぁ~?」
「嫌いじゃないな。まあ、今回は取材が目的なんだけど」
「取材ですか? あ、もしかして、次のマンガの?」
「ああ。実は今、新作を考えててさ。プリキュアが宇宙で戦ったシーンを書きたいんだ」
「あ、あはは! ああ、そういうことかぁ」
「よければ来海も一緒にどうだ?」
「んんん~、あたしはいいや! 宇宙とか難しそうだしさ」
 そう言いながら、ランチボックスからサンドイッチの付け合わせに持ってきていたピクルスをつまみ、ぽいっと口に放りこんだえりかにつぼみが軽く首を捻って、
「そんなことないですよ? きっと、えりかも楽しめます」
「いやぁ? あたしは今が一番楽しいよ~?」
 目を閉じ、すまし顔でピクルスを味わったえりかは、ぱちりとその大きな瞳を開けてまたにんまりと笑った。そして、二人に向かってずずいとランチボックスを差し出す。
「ねえねえ、このピクルス、ももねえと一緒に作ったんだ! 二人も食べてよ、すっごく美味しいよ!」
 

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